2012
Haga Kids Clinic はがこどもクリニック

5人のお子さんを育てる!ご夫婦そろってお医者さん。頼れるこどもクリニック。

はがこどもクリニック Haga Kids Clinic

5人のお子さんを育てる!ご夫婦そろってお医者さん。頼れるこどもクリニック。

2012年7月1日、熊本県益城町の小児科クリニックが完成しました。
はがこどもクリニック
私は今回初めて「ホスピタルアート」という視点からクリニックの建設に関わりました。
ホスピタルアートとは、まだ日本でそれほど定着している考え方ではありませんが、病院にアート作品を飾る事で、患者や医療関係者双方のストレス緩和と、暖かい医療環境を作る事を目的としたものです。
今回のプロジェクトがスタートする前に、NHKで放送された版画家の山本容子さんがスウェーデンに行きホスピタルアートに触れるドキュメンタリー番組を見ました。スウェーデンでは病院の建設費の1%をアートに使わなくてはならない、という法律があるそうです。また、アートをレンタルするシステムもあり、患者は自分の入院している個室に飾るアートをカタログから選べたりします。そういった絵画などのアート作品を飾る場合もあれば、室内全体にオブジェや壁画などを施す場合もあります。これまでも絵画を飾っている病院はたくさんありますが、たいていの場合は医院長のコレクションであったりします。ポイントは、患者さんをはじめ、そこで過ごす人のために用意することです。日本国内でも、ホスピタルアートとして活動をしている団体がじわじわと増えている様子です。

私はアーティストではなく、これまで医療現場のデザインに従事してきたわけでもありません。ホスピタルアートの依頼を受けて、初めは戸惑いましたが、キャラクターやロゴをつくる時と同じように、病院内がどのようになっていたら「ワクワクするか」という部分に絞って考えて行く事にしました。

まずは芳賀先生のヒアリングを通して、患者さんの様子を伺います。患者は乳幼児から中学生までいること、たいて20代〜30代の若いお母さんが同行することが多いこと。患者のこどもたちはほとんど重い病気でなく8割は元気なこと…さらに、はがこどもクリニックの特徴は、小児科のご主人と、歯科医の奥様の二人でしており、お子さんが4人いることで、多くの若い夫婦の先輩として相談できる心強いクリニックであること。

それらをヒントとして、モチーフやテーマを考えつつ思い至ったのは、クリニック内の場所によって、こどもたちや、お父さん・お母さんたちの気持ちや状態は異なったものになる、ということでした。待合室、診察室、点滴室はどんな人がどんな状態でそこに滞在するのか、それを掘り下げる事でアートのキーワードを見つける作業へ入りました。例えば、待合室はやっとの思いで熱をだしたこどもを連れてきたお母さん、お父さんがほっとひといきつくところ。だからカフェのように落ち着いてくつろげる木製のアートをソファの目前に広げました。診察室は、先生にとっては1日のほとんどを過ごす職場。家族写真を飾るように、芳賀先生の家族を模したうさぎの家族イラストを壁面に描きました。のどや鼻の治療をするネブライザースペースは、こどもたちが苦手とする場所。だからこそ、明るく楽しい気持ちで過ごせるように、座りたくなる、屋根付きのスペースへ。他にも、天窓をうさぎの穴に見立てるなど、建築の特徴に合わせた提案も含めて、その空間だからこそ楽しめる“しかけ”を施しています。

未知の世界の内容で、とにかく考えうるご提案をしましたが、実現化できたのは寛大なご理解をいただいた芳賀先生ご夫妻と、ご依頼くださった建築設計事務所Gatさん、家具職人さんや大工さんの技術と経験のおかげです。クリニックにこられた人たちに少しでも笑顔が増えれば嬉しいです。

Client

はがこどもクリニック
住所:熊本県上益城郡益城町宮園408-1
電話:096-289-7020
HP:http://www.hagakodomo.com